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労働基準法・労働安全衛生法について無料で勉強したい方へ [労働基準法]

 週末の8月28日(日)は、いよいよ令和4年度の社会保険労務士試験の日ですね。
社会保険労務士試験は選択式と択一式の試験があり、それぞれ以下の7科目について選択式は各問1点・1科目・5点満点・合計40点満点、択一式は各問1点・1科目10点満点・合計70点満点で行わる試験です。選択式と択一式には、選択式は各科目原則3点以上、択一式には各科目原則4点以上の足切りがあり、総得点で合格基準を上回っても足切りの科目が1つでもあると不合格になるため、この点が社会保険労務士試験の難しいところであると思います。    
 受験される皆様におかれては、日頃の勉強の成果を十分に発揮の上、多くの方が合格して社会保険労務士になって欲しいと思います。

試験科目:①労働基準法及び労働安全衛生法
     ②労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
     ③雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
     ④労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識
     ⑤健康保険法
     ⑥厚生年金保険法
     ⑦国民年金法

 さて、社会保険労務士の仕事は、上記試験科目にありますように多岐の内容に関わりがありますが、企業をお客様とする事務所では、①の労働基準法や労働安全衛生法に関わる仕事は数多くあり、社会保険労務士は必ず知っておかなければならない法律です。一方で、企業においても、労働基準法や労働安全法は法律遵守のために知っておけば良いというものではなく、その企業の従業員の働きやすさ・働きがいを維持・向上し、企業が成長していく上で必ず自社で知っておかなければならない法律だと思います。
 労働基準法の内容は、労働契約、労働時間、年次有給休暇、休業・休職、割増賃金、退職、解雇など、労働安全衛生法においても健康管理や安全・衛生体制など多くの内容があり、勉強する上ではまずはそれぞれの内容について、概要を十分理解し、その上でそれぞれの内容を深堀りしていくことが重要ではないかと思います。
 では、どのテキストを活用して勉強しますか?
 市販の試験用のテキストを購入する。社会保険労務士が著者の本を読む。当然ありだと思います。読者に分かりやすく説明していますので良いと思います。

 無料で何か分かりやすいテキストみたいなものはありませんか?と聞かれると、東京労働局がホームページ上に公開しています「従業員が働きやすい会社は伸びる!働き方のルール~労働基準法のあらまし~(以下「労働者のあらまし」)という資料を私はお勧めします。
この資料は、本年3月25日に公開され、最近の法改正にも対応しており、企業がやってはいけないことや、Q&A、Pick Upという留意点についても書かれており、非常に実務的な内容も書かれています。私も何か調べるときに参考にしています。また、このテキストには、概要が記載されていますが、深堀りした内容を知りたいときは、その内容に特化した資料やリーフレットがあるサイトを記載していますので、知りたい情報を迅速に探すこともできます。
 例えば、P20には賃金支払いの5原則について記載されていますが、同じページに、Pick Upとして「同一労働同一賃金」を理解しようというコーナーがあり、「詳細は厚労省サイト「同一労働同一賃金特集ページ」をご覧ください。と下記にありますので特集ページを探せば知りたい情報を見つけられる可能性が上がります。

下記のURLより資料をダウンロードできますのでぜひご活用ください。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/newpage_00379.html


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年次有給休暇を全部または一部前倒しで付与する場合における取扱いについて [労働基準法]

年次有給休暇は入社6ヵ月後に8割以上の日数を出勤した従業員に付与する、というのが労働基準法で定められた最低限のルールです。
ただ、心身のリフレッシュを目的にした年次有給休暇ですから、新入社員や中途入社者にも、入社時(法定の基準より前)に、年次有給休暇の全部または一部を付与されている会社もあります。
今回のブログでは、4月1日入社の従業員に年次有給休暇を全部または一部前倒しで付与する場合の年5日の取得義務の取扱いについて解説いたします。
年次有給休暇の前倒し付与をご検討されている事業主様のご参考にしていただければ幸いです。

〇ケース1 入社(2022年4月1日)と同時に10日の年次有給休暇を付与する場合

ポイント 法定の付与日数が10日以上の方に対して、法定の基準日より前倒しで付与する場合であっても、付与日数が10日に達した時点で年5日の取得義務が発生します。

ケース1の場合、入社日(2022年4月1日)に前倒しで10日の年次有給休暇を付与していますので、入社日から1年以内に5日の年次有給休暇を取得させる必要があります


〇ケース2 入社(2022年4月1日)から半年後の2022年10月1日に10日の年次有給休暇を付与し、翌年度以降は全社一斉付与日である2023年4月1日に年次有給休暇を11日(2年目の基準日に基づく付与日数)付与する場合  

ポイント 年5日の取得義務にかかる期間に重複が生じた場合には、重複が生じるそれぞれの期間を通じた期間(前の期間の始期から後の期間の終期までの期間)の長さに応じた日数(比例按分した日数)を当該期間に取得させることも認められています。

ケース2の場合、最初に10日の年次有給休暇を付与した2022年10月1日と全社一斉付与日である2023年4月1日を基準としてそれぞれ1年以内に5日の年次有給休暇を取得させる必要がありますが、管理を簡便にするため2022年10月1日(1年目の基準日)から2024年3月31日(2年目の基準日から1年後)までの期間(18か月)に、7.5日(18÷12×5日)以上の年次有給休暇を取得させることも可能です。
※労働者が半日単位の取得を希望し、使用者がこれに応じた場合は「7.5日以上」になり、それ以外は「8日以上」となります。

〇ケース3 入社(2022年4月1日)と同時に5日の年次有給休暇を付与し、2022年7月1日に更に5日の年次有給休暇を付与する場合で、途中労働者が自ら5月1日、5月2日に請求し、合計2日年次有給休暇を取得した場合

ポイント 一部前倒しで付与された年次有給休暇を基準日以前(2022年4月1日~2022年6月30日)に労働者が自ら請求・取得していた場合(計画年休も含む)には、その日数分を5日から控除する必要があります。

ケース3の場合、付与された年次有給休暇が10日に達した2022年7月1日を基準日として、その日から1年以内に5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。ただし、入社時に一部前倒しで付与された年次有給休暇を2日取得していますので、2022年7月1日からの1年間に残り3日年次有給休暇を取得させなければならないということになります。

(補足)ケース3の場合、1年目の基準日は2022年7月1日ですが、2年目の基準日はいつになるでしょうか。
→2年目の基準日は、最初に5日付与された入社日から1年後の2023年4月1日となります。したがって、2年目の基準日から1年以内(2023年4月1日~2024年3月31日)に5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。一方、この期間には、1年目の基準日からの年5日の取得義務期間(2022年7月1日~2023年6月30日)に3か月の重複期間がありますので、ケース2と同様に、管理を簡便にするため、2022年7月1日から2024年3月31日までの期間(21か月)までの間に9日以上(21÷12×5=8.75)の年次有給休暇を取得させることも認められます。
ただし、ケース3の場合では、入社時に一部前倒しで付与された年次有給休暇を2日取得していますので、9日から2日を控除し、2022年7月1日から2024年3月31日までの期間(21か月)までの間に7日以上の年次有給休暇を取得させなければならないということになります。


引用元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説-2019年4月施行-」

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36協定の新様式 [労働基準法]

労働基準法が改正され、時間外労働の上限規制が規定されたことにより36協定届も新様式になりました。次回の36協定届は新しい様式で届出を予定している会社もあると思います。
そこで、今回は36協定届の新様式について重要なポイントを記します。

ポイント1 時間外・休日労働の上限時間(限度時間)
 今回の改正で原則として月45時間、年360時間となりました。
 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも年720時間以下、時間外労働 
 と休日労働の合計が月100時間未満、2ヶ月平均・3ヶ月平均・4ヶ月平均・5ヶ月平均・6ヶ月平均
 がすべて1月あたり80時間以内、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月(6回)
 までとなりました。
 1月100時間、2~6ヶ月の複数月の平均80時間は過労死ラインと呼ばれ、長時間労働の危険性を示
 す基準になっています。

ポイント2 特別条項での「臨時的な特別の事情」
 月45時間を超えて時間外・休日労働を行わせることができるのは、通常予見することができない
 業務量の大幅な増加等の臨時的な特別な事情がある場合に限るとされています。
 例えば、納期のひっぱく、大規模なクレームへの対応等になります。

ポイント3 過半数代表者の選任
 改正労規則で、使用者の意向に基づき選出されていないことが明記されており、以下の要件を満
 たす必要があります。
 ①労働者の過半数を代表とし、正社員だけでなく、パートやアルバイトなど事業場のすべての労
  働者を代表している必要があること。
 ②36協定を締結するための過半数代表者を選出することを明らかにしたうえで投票、挙手などに
  より選出すること
 ③労基法41条2号に規定する管理監督者でないこと

36協定を締結せずに時間外・休日労働させた場合や36協定で定めた時間を超えて時間外・休日労働させた場合、特別条項の上限を超えた場合、労働基準法違反になります。

多くの会社が36協定の届出を行っていない、36協定の時間を超えて時間外労働をさせていたなどのニュースを今年は多く見かけました。各会社には、法令順守をぜひ守って頂きたいと思います。 

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いまさら聞けない36協定の基礎④ [労働基準法]

[ひらめき]今更聞けない「36協定」の基礎についてのおさらい第4回(最終回)です。

今回は特別条項付き協定について説明していきます。

臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き協定を締結」することにより、第3回でお伝えした限度時間を超える時間を延長することができます。

[ひらめき]ポイント[ひらめき]

[1]「特別な事情」とは「限定的なもの」に限られ、「臨時的なもの」であり、「年の半分(6回)を超えないことが見込まれるもの」をさします。

[2]労使当事者間において決められた所定の手続きの時期、内容、相手方等を書面で明らかにしておく必要があります。

[3]特別延長時間を定めます。(過重労働で健康を損ねない程度)

[4]限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を協定します。
※2割5分を超えるように設定しなければならない

[5]届け出方法は、特別条項に関する協定書の写しを添付するか、36協定届の余白に記載します。


特別条項付の36協定を締結していても、特別条項により協定された延長時間を超えた場合や、延長する回数制限を超えた場合、そして限度時間を超えて時間外労働を行わせる場合に、協定されている手続きを踏んでいないのであれば、労働基準法違反となります。


[ひらめき]豆知識[ひらめき]
●36協定の本社一括届出
本社と各事業場の内容が同一である場合は、本社を管轄している労働基準監督署へ一括して届け出ることができます。
[ひらめき]協定事項のうち、「事業の種類」「事業の名称」「事業の所在地(電話番号)」「労働者数」以外の事項が同一であるものに限られます。
[ひらめき]一括届出に際しては、各事業場の名称、所在地、所轄労働基準監督署長名を明確にするため、「届出事業場一覧表」が必要となります。

以上、4回にわたり36協定についての基礎知識を連載してきましたが、近々限度時間にも上限が決められることは間違いないようです。最新の情報は今後もブログで発信していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

いまさら聞けない36協定の基礎①
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2017-08-09
いまさら聞けない36協定の基礎②
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2017-09-15
いまさら聞けない36協定の基礎③
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2017-10-12

上級者向きの記事はこちらから↓↓↓
36協定の重要ポイント①~事前に届出を行っていますか?~
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29
36協定の重要ポイント②~特別条項の内容は適正ですか?~
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-03-25

社会保険労務士法人ヒューマン・プライム M


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いまさら聞けない36協定の基礎③ [労働基準法]

今更聞けない「36協定」の基礎についてのおさらい第3回です。

前回の【いまさら聞けない36協定の基礎②】
締結当事者についての説明をしましたので、今回は協定書の締結に戻ります。

[ひらめき]協定書
協定書は書面で作成し、3年間保存しなければなりません。

[ひらめき]様式

労働局の様式第9号(見本)がありますが、様式については、
必要な事項が網羅されていれば、横書き、縦書き、その他どんな様式を用いても差し支えないことになっています。

届け出書は2部提出し、1部に受付印をもらい、控えとして保管します。
届出して初めて協定が有効となるため、有効期間の開始までに届け出します。

期間よりも遅れて提出すると受付印とともに「この届は協定の有効期間以前に提出してください。届け出年月日前については無効です。」の印が赤字で押されますのでご注意ください!!


[ひらめき]協定しなければならない事項
1. 時間外労働をさせる必要のある具体的な事由
2. 時間外労働をさせる必要のある業務の種類
3. 時間外労働をさせる必要のある労働者の数
4. 1日について延長することができる時間
5. 1日を超える一定の期間について延長することができる時間
6. 有効期間


[ひらめき]4.と5.の延長することができる時間について
延長できる時間の限度は3つにわけてそれぞれ協定しなければならないことになっています。

①1日 
②1日を超えて3か月以内の期間 
③1年間

①の1日の延長時間の限度についての規制は原則としてない。
 ※危険な作業についてだけ2時間の上限が定められている。

②と③
期間 と一般の労働者の場合
1週間→15時間
2週間→27時間
4週間→43時間
1箇月→45時間
2箇月→81時間
3箇月→120時間
1年間→360時間

1日を超える一定の期間については、起算日の記載が必須となります。
※起算日はなるべく有効期間の開始日と一致するようにしましょう。

[ひらめき]限度時間の適用除外について
「工作物の建設等の事業」「自動車の運転の業務」「新技術・新商品等の研究開発の業務」については表の限度時間が適用されません。他にも「厚生労働省労働基準局長が指定するもの(造船や郵政事業の年末年始業務等)」も適用除外とされていますが、1年間の限度時間は適用されます。


④へ続く

いまさら聞けない36協定の基礎①
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2017-08-09
いまさら聞けない36協定の基礎②
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2017-09-15

上級者向きの記事はこちらから↓↓↓
36協定の重要ポイント①~事前に届出を行っていますか?~
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29
36協定の重要ポイント②~特別条項の内容は適正ですか?~
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-03-25

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いまさら聞けない36協定の基礎② [労働基準法]


今更聞けない「36協定」の基礎についてのおさらい第2回です。

[ひらめき]締結と届け出
36協定は、事業場単位で締結し届け出る必要があります。
よって、同じ会社でも支店や工場などが何か所かある場合は、それぞれの1つの事業場となるので、支店(工場)ごとに締結し、その事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に届け出る必要があります。

[ひらめき]労使協定の締結について
労使協定ってなんでしょう[ふらふら][あせあせ(飛び散る汗)]
会社と労働者の代表で取り交わすものです。

それでは労働者の代表となる要件とはどのようなものでしょうか?

大きな会社などで、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は、その労働組合と協定します。労働組合がない会社の場合は「労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)」を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

[ひらめき]労働者の過半数の判断
該当する事業場に使用されるすべての労働者の過半数を意味するので、正社員のみでなくパート、アルバイトも含まれる以外にも管理監督者、病気や出張、休職等により協定締結当日に出勤していない人や協定期間中に出勤が全く予想されない人も含みます

[ひらめき]過半数代表者になることができる労働者の要件
①労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと
②民主的な手続きにより選出されたこと
・投票、挙手、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる方法
※会社の代表者が特定の労働者を指名するなど、使用者の意向による選出の協定は無効とりますのでご注意ください。

[ひらめき]派遣労働者の場合
派遣元で36協定を締結し、派遣先ではその範囲内での時間外労働、休日労働となります。

[ひらめき]出向者の場合
出向元、出向先ともに雇用関係が存在するため、出向先の指揮命令を受けている場合には出向先で出向労働者を含めて36協定を締結します。

[ひらめき]
管理監督者とは
一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人
のことをいいます。




いまさら聞けない36協定の基礎①
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2017-08-09

上級者向きの記事はこちらから↓↓↓
36協定の重要ポイント①~事前に届出を行っていますか?~
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29
36協定の重要ポイント②~特別条項の内容は適正ですか?~
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-03-25

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いまさら聞けない36協定の基礎① [労働基準法]

労働新聞8月14日号記事より
「36協定認知は5割半」

36.png

連合が行った調査によると、36協定の認知率は5割半に留まり、勤め先が36協定を締結しているかを聞いた結果「締結しているかどうかわからない」が38%にもなった。



残業をするにもさせるにも「36協定」の締結&届出が必要です。


36協定って何?って総務や人事など管理部門の社員でないとわからないし、今更聞きにくいことですよね。

今更聞けない「36協定」の基礎についておさらいしましょう。

[ひらめき]36協定とは
労働基準法では、法定の労働時間を超えて労働(法定時間外労働)させる場合、または法定の休日に労働(法定休日労働)させる場合に、あらかじめ労使で書面による協定を締結し、これを管轄する労働基準監督署長に届け出ることが必要とされています。この協定を「時間外労働・休日労働に関する協定書」と言いますが、労働基準法の第36条に規定されていることから、通称「36(サブロク)協定」といいます。

[ひらめき]法定労働時間とは
1日8時間、1週40時間と定められている。
この時間を超えて労働させると時間外労働となる。(変形労働時間制を採用する場合を除く)
※特例措置対象事業所については法定労働時間は44時間

[ひらめき]法定休日とは
1週間に1日の休日と定められている。
この休日に労働させる場合は休日労働となります。


上級者向きの記事はこちらから↓↓↓
36協定の重要ポイント①~事前に届出を行っていますか?~
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29
36協定の重要ポイント②~特別条項の内容は適正ですか?~
http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-03-25

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給与の支払いに関するキホン ~給与・賃金の原則について~ [労働基準法]

今回はお給料に関する「これって?」について事例を交えて取り上げてみたいと思います。
Aさん、Bさん、Cさんのような話を聞いたことはありませんか?

Aさんの場合
今日は待ちに待った給料日[るんるん]
でも今月は会社の経営状況が厳しく、社長から「現金がないので商品券で支払う!」と言われました[ふらふら]これってありでしょうか?

Bさんの場合
レストランのホールスタッフとして働いています。
Bさんの不注意で高級ワイングラスを3つ割ってしまいました[がく~(落胆した顔)]
社長から「ワイングラス代金としてお給料から18,000円を差し引く!」と言われました。これってありでしょうか?

Cさんの場合
会社は2か月に1度大きな入金があるとのことで、お給料の支払いも
2か月に1度という約束で入社しましたが、これってありでしょうか?

この事例がOKか、NGかは賃金支払いの5原則~労働基準法第24条~をクリアしているかどうかで判断します。

【賃金支払いの5原則】

 ①通貨払いの原則
 強制通用力を持つ貨幣であること。小切手は×です。
 ②直接払いの原則
 直接労働者に支払わなければならなりません。
 労働者の委任を受けた代理人、親権者でも×です。
 ③全額払いの原則
 ④毎月1回以上払いの原則
 ⑤一定期日払いの原則

ですので[exclamation]
Aさんの場合
①の通貨払いの原則に反しています。
 会社の商品等でお給料分に相当する現物での支払いはできません。

Bさんの場合
③の全額払いの原則に反しています。
下記に取り上げる【例外】に該当しない限り、お給料から勝手に相殺できません。
また、事例のように、不注意でグラスを割ったことで実際に生じた損害額を請求すること自体は禁止されていませんが、会社は労働者の労務提供により利益をあげていることから、原則として労働者に対して実際の損害額をそのまま請求することは難しいとされています。(労働者に過失があっても同様です。)
また、遅刻などをしたから罰金を払う といった不就労分以上の控除をするというのもNGです。

Cさんの場合
④の毎月1回以上の原則に反しています。
お給料は毎月1回以上期日を決めて支払われなければなりません。
年棒制の会社でも12等分(以上)して支払われなければなりません。
  
[ひらめき]ただし、5原則にも例外もありますので確認してみましょう!

≪例外≫
通貨以外のものでの支給が認められる場合
→法令・労働協約により現物支給が認められる場合
→労働者の同意を得た上で、銀行口座に振込む場合
 
賃金控除が認められる場合
→労使協定による場合
→所得税、社会保険料など法令に定めがある場合(公租公課)

毎月1回以上、一定日払いでなくてよい場合
→臨時支給の賃金、賞与、査定期間が1か月を超える場合の精勤手当・能率手当など

このように「賃金支払いの5原則」のもと、賃金が労働者の手に確実にわたるように法律に規定されています。
お給料を支払う側にとっても、受ける側にとっても重要な法律です。

社会保険労務士法人ヒューマン・プライム MA
 


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労働条件を通知する際のポイント [労働基準法]

従業員を雇用した際にトラブルを回避するために必要な労働条件のポイントになります[わーい(嬉しい顔)]

まず従業員を雇用する際には、事業主と労働者双方が納得した上で働いてもらう必要があります[exclamation×2]
その際の労働条件は下記の点を口頭ではなく書面で交付しなくてはなりません[あせあせ(飛び散る汗)]
※書面で交付することは、労働基準法第15条で定められています

1.労働契約の期間
※期間の定めが無い場合でも「期間の定めなし」と明示しなくてはなりません

2.労働契約に期間の定めが場合は、労働契約を更新する場合の基準
※契約の更新をする場合には、その都度労働条件の明示が必要になります

3.就業の場所、従事する業務

4.始業・終業の時刻、休憩時間

5.交替制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項
※交代制勤務とは、所定労働時間(通常8時間/日)以上に及ぶ業務体系が必要なときに、
労働者を交代で勤務させる勤務形態のこと

6.休日、休暇

7.残業の有無

8.賃金の金額、支払い方法、賃金の締め日・支払日

9.退職に関する事項(解雇の事由を含む)

就業規則がある場合には、就業規則に労働者に適用される労働条件が具体的に規定されていて、
労働契約締結時に労働者一人ひとりに対し、その労働者に適用される部分を明らかにしたうえで、
就業規則を交付すれば、同じ事項については、「就業規則に準ずる」で間に合わせる事が出来ます。

余談ですが、口約束でも事業主と労働者の間で労働契約を成立させる事は出来ます[exclamation]
しかし、上記であったように労働条件は書面で交付が絶対ですので、
雇用契約も書面で結ぶ事をオススメします[わーい(嬉しい顔)]

社会保険労務士法人ヒューマンプライム T

36協定の重要ポイント②~特別条項の内容は適正ですか?~ [労働基準法]

前回のブログ(こちら⇒http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29)では、法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりする可能性がある場合は、36協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要がある旨をご説明しましたが、今回はその法定労働時間を超えて時間外労働を行う特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き36協定」を締結することにより、限度時間を超える労働をさせることができることについて説明します。

[ひらめき]特別条項付きの36協定を締結するにあたっては、以下の要件を満たしていることが必要です。
[1] 原則としての延長時間(限度時間以内の時間)
[2] 限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情 (注1)
[3] 原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続 (注2)
[4] 限度時間を超える一定の時間
[5] 限度時間を超えることができる回数(1年の半分を超えてはならない)
[6] 限度時間を超える一定の時間を定めること
[7] 限度時間を超える一定の時間を定めるにあたっては、その時間をできる限り短くするように努めること
[8] 限度時間を超える時間外に係る割増賃金率を定めること
[9] 限度時間を超える時間外に係る割増賃金の率は、法定割増賃金率(2割5分以上)を超える率とするように努めること

(注1)
特別の事情は「臨時的なもの」に限られ、具体的には一時的または突発的であることが必要です。全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものを指します。
 <臨時的と認められるものの例>   
   ・予算、決算業務 ・ボーナス商戦に伴う業務の繁忙 ・納期のひっ迫 
   ・大規模なクレームへの対応 ・機械のトラブルへの対応
 <臨時的と認められないものの例>   
   ・(特に理由を限定せず)業務の都合上必要なとき 
   ・(特に理由を限定せず)業務上やむを得ないとき 
   ・(特に理由を限定せず)業務繁忙なとき 
   ・使用者が必要と認めるとき ・年間を通じて適用されることが明らかなとき

(注2)
厚生労働省が提供している雛型が「労使協議を経て」となっているため、そのまま使用してしまい、実際は協議の手続きを怠っていませんか?この定めた手続きをとらずに延長時間を超えて労働させた場合は、労働基準法第32条違反となり、労働基準監督署の調査では是正勧告の対象となります。なお、手続き方法は「協議」「通知」「通告」「同意」等、36協定の趣旨に反しなければ差し支えないとされているので、会社の実態に合った手続きを選択する必要があります。また、手続をとったその事実(時期・内容・相手方)を明らかにする証拠として書面等を残しておく必要があります。証拠がないと労働基準監督署の調査では指導の対象となってしまいます。

~特別条項の記載例~
一定期間における延長時間は、1ヵ月45時間、1年360時間とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労働者へ通知のうえ、6回を限度として、1ヵ月60時間、1年630時間までこれを延長することができる。なお、延長時間が1ヵ月45時間、1年360時間を超えた場合の割増賃金率は30%とする。

特別条項に定めるべき延長できる時間数の上限はありませんが、だから言って適当な時間で協定すればいい訳でもありません。会社には労働者の健康を守る「安全配慮義務」が課されていますので、時間の設定にあたっては残業の実態を把握することや、会社と労働者で十分に話し合って決定することが望まれます。また、その設定した時間はあくまでも「上限」ですので、できる限り延長時間は短くするように努力しなければなりません。
以上を踏まえたうえで、適正な「特別条項付き36協定」を締結するよう心掛けることが大切です[exclamation×2]

[ひらめき]最新情報[ひらめき]
「残業80時間以上で労基署立ち入り[exclamation&question]
詳しくはこちら⇒http://humanprime.co.jp/contents/hoka/20160325.pdf

社会保険労務士法人ヒューマン・プライム K


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