労働時間について思うこと [労働基準法]

 ある仕事を普通の人は8時間で終わらせることができるのに、10時間かかってしまう人がいたとします。この場合、10時間かかる人のほうが賃金をたくさんもらえる、ということを疑問に感じる人は多いと思います。あなたが経営者だったらどうでしょうか。仕事の遅い人のほうに多くの賃金を気持ちよく払えますか? ましてや、1日の法定労働時間を超える2時間については割増賃金の支払い義務があります。割増賃金の性格は、法の原則を破って労働をさせたことに対する使用者へのペナルティであり、長時間働いた労働者への「ご苦労さん代」ではありません。仕事が遅い人がいるばかりに、使用者にペナルティまで課せられるのです。
 社長さんによく怒られます。「あなたがた社会保険労務士は、こんな労働時間法制はおかしいと思わないのですか? なぜ専門家の集団が、声を大にしておかしな法制を改正するよう働きかけないのですか?」おっしゃるとおりで、返す言葉もありません。

 「労働基準法でそう決められていますから、労働時間を正確に把握して、残業手当はきちんと払ってください。」とまるで労働基準監督署の『回し者』みたいな指導をすることだけが社会保険労務士の役割でしょうか。業務の効率化、社員の能力開発、能力に応じた賃金制度・・・。専門家として、使用者とともに真剣に取り組むべき課題はたくさんあるはずです。

株式会社ヒューマン・プライム/ヒューマン・プライム労務管理事務所 Y


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