含み残業制度について [労働時間管理]

労働契約の1種として「含み残業制度」という契約の方法があります。

これは法律上の名称でもなく、法的に認められているものでもありません。

たとえば、労働契約書に次のように記載されているものが、こういった仕組みになります。

 基本給 月額30万円 (ただし、20時間分の残業代を含む)

こういった記載の場合の運用方法は、基本給30万円の中に20時間分の残業代が含まれているのだから、残業時間が10時間でも30万円を支払うことになります。

しかし、、、、
ある月の残業時間が30時間だったら、どうでしょう?

基本給に含まれているのは、20時間分だけなので、オーバーした10時間分は別途支払わなければ、労働基準法違反になってしまいます。

一般的には、「含み残業なんだから、残業してもしなくても基本給の30万円を支払っていれば大丈夫」という解釈が横行している感があります。
この裏には、残業時間が20時間より少ない月も全額支払っているんだから、ちょっとオーバーした月があっても相殺されるから、いいんじゃないの! という考えがあるのでしょう。

しかし、こういった考え方は通用しませんので、例えば監督署の臨検が有った場合などは、直ちに是正事項として指摘されるでしょう。

含み残業制のメリットは、給与計算時等の事務処理の軽減はあると思いますが、それ以外はあまりメリットはないでしょう。

弊社のクライアント様の中でも、この契約方法を採っていたのですが、景気の低迷で作業量が減ってしまい、残業がほとんどなくなってしまったにもかかわらず、毎月20時間分の残業代を支払わなければならない、といった担当者の悩みをききます。

労働時間の管理については、ますます強化される傾向にありますので、管理方法を改めて見直す必要がありそうです。

尚、この契約方法を採る場合は、契約書に含まれる残業の時間を記載するだけでは、NGとなることがあります。
正確には、30万円のうち、基本給部分が○○円、20時間の残業代に相当する部分が○○円といった記載が求められます。

式会社ヒューマン・プライム/ヒューマン・プライム労務管理事務所 O