選択制確定拠出年金の随時改定の取扱いについて [確定拠出年金]

選択制確定拠出年金とは、給与や賞与、前払い退職金(以下、給与等)の一部について、
引き続き給与等で受け取るか、企業型確定拠出年金の掛金とするかを従業員が【選択】する制度です。
企業型確定拠出年金の掛金とする場合、給与等の一部を「ライフプラン手当」や「生涯設計手当」等として再設計します。


選択制確定拠出年金のメリット※として、
従業員が掛金として拠出することを選択した場合に、給与としての支払額が下がるため、
標準報酬月額が下がる場合があり、結果として社会保険料の軽減につながるという考え方があります。

では、掛金として拠出した結果、標準報酬月額が2等級以上変動した場合、随時改定(いわゆる月変)に該当するのでしょうか?


勘違いされている方が多いので、整理したいと思います。


[ひらめき]1.会社が新たに選択制確定拠出年金制度を導入し、導入した月から加入し、拠出した掛金により2等級以上変動した場合
⇒随時改定に該当します。

[ひらめき]2.会社がすでに導入している選択制確定拠出年金制度に、導入月以降に加入して拠出した掛金、または、選択した掛金額の変更により2等級以上変動した場合
⇒随時改定に該当しません。

≪固定の給与額が変動するので、当然随時改定の対象となる≫と、思われている人事労務担当者の方がいらっしゃるかもしれませんが、随時改定に該当するのは、導入月から加入し、標準報酬月額が2等級以上変動した場合のみとなります。

導入月以降は、4月5月6月の給与で標準報酬月額を決める定時改定(いわゆる算定)に該当します。


標準報酬月額が下がることによる社会保険料の軽減効果は、企業にとってはメリットですが、
従業員にとってはメリットばかりとは言えないと思います。
無理のない範囲で掛金として選択し、老後の資産形成のために3つの税制優遇措置を活用することが望ましいですね。

※メリットには大きく次の3つがあります。 ①税金・社会保険料の軽減効果が見込まれる ②運用益が非課税で再投資される ③受け取り方法に応じて大きな所得控除がある
それぞれのメリットの詳細は、追って別のブログでご紹介します。
今すぐお知りになりたい方は、ヒューマン・プライムまでお問い合わせください。

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社会保険労務士法人ヒューマン・プライム M



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短時間労働者に対する健康保険・厚生年金の適用拡大について【令和6年10月より】 [法改正]

令和6年10月より、被保険者数が51人以上の企業等(現在は101人以上の企業等)で働く、以下の要件に該当する短時間労働者(パート・アルバイト等)の方について社会保険の加入が義務化されます。

≪令和6年10月からの加入対象(短時間労働者)の要件≫
◇週の所定労働時間が20時間以上
◇月額賃金が8.8万円以上
◇2カ月を超える雇用の見込みがある
◇学生ではない

被保険者が51人以上の企業等とは?
健康保険・厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数(※)が、1年のうち6カ月以上51人以上であることが見込まれる企業等のことです。
なお、この企業のことを「特定適用事業所」といいます。
(※)法人事業所の場合は、同一法人格に属する(法人番号が同一である)すべての適用事業所の被保険者の総数、個人事業所の場合は適用事業所単位の被保険者数となります。

[ひらめき]日本年金機構 拡大特設サイトはこちら
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

少し先の改正内容となりますが、当該義務化の対象となる可能性がある事業所様は早目のご準備が必要と思います。
特に新たに加入対象となるパート・アルバイトのみなさんへ法律改正の内容が確実に伝わるようにしたいですね。

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金の適用拡大の全体像については、ヒューマン・プライム通信のバックナンバー「年金制度の改正(2)」をご覧になってください。
https://humanprime.co.jp/hp328/

社会保険労務士法人ヒューマン・プライム:MA

中小事業主のための「メンタルヘルスケア」特設ページが公開されました! [職場環境]

メンタルヘルスケアは、すべての働く人が健やかに活き活きと過ごせるような気配りと援助をする事です。

メンタルヘルスに関する理解は徐々に浸透してきてはいますが
「そんなの大企業の話でしょ!なかなか中小企業ではそんな余裕ないから、今のところ何もしていないよ!」
という中小事業主の声も聞こえてきます。

そんな中小事業主をサポートできるよう、厚生労働省の運営する
働く人のメンタルヘルス「こころの耳」(https://kokoro.mhlw.go.jp/)というサイトにおいて中小企業向けのページが公開されました。

厚生労働省が行った令和3年労働安全衛生調査(実態調査)によると、メンタルヘルスに取り組んでいる割合については、使用する労働者が50人以上の事業場では取り組み率が94.4%であるのに対し、使用する労働者数30人未満の小規模事業場におけるメンタルヘルス対策への取り組みが49.6%と特に低調となっています。


厚生労働省では、「労働災害防止計画について」にて掲載されている「第14次労働災害防止計画」において、中小事業者のメンタルヘルス対策として、使用する労働者数50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合を2027年までに50%以上とすることを目標としています。


こころの耳のサイト内では、
・働く方
・ご家族の方
・事業者の方
・部下を持つ方
・支援する方
のカテゴリにおいて、それぞれの立場で知っておくと便利な情報が公開されています。


メンタルヘルス対策の基本は4つのケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフなどによるケア、事業場外資源によるケア)ですが、そのうち、私たちが自分自身で行うことのできる「セルフケア」の簡単な方法などが載っています。


また、5分でできる職場のストレスチェックとして、仕事のことや職場環境、自分の気持ちについて4つの選択肢から該当するものを選ぶ選択形式のチェックを受けられます。

全ての質問に回答することで、ストレスの原因や心身反応、影響因子において、自分がどの程度であるのか。項目ごとの割合をグラフで見ることができます。
またその結果を踏まえて、ストレスケアへのアドバイスや現状についての解説を見ることができます。


サイト内ではさらに相談可能な第三者機関の紹介もしています。
さらに、【POSITIVE SHARING #ポジシェア-疲れやストレスと前向きにつきあうコツ-】というコンテンツが配信されています。

[ひらめき]リラクゼーションヨガやセルフケア探偵というドラマ、著名人へのインタビューが掲載されており、コンテンツは読み物としても楽しめます。


ストレスを抱えるご本人のみならず、すぐ近くで見守るご家族の方や同僚の方における疲労度チェック、またストレスに関する知識や情報などを発信しており、心の負担を感じている方への接し方のポイントについて知ることができます。


メンタルヘルスケアと言うと、どうしても鬱や自律神経失調症等を発症してからの話だと思いがちですが、早期に発見できれば、病気として認識される前に対応することができるかもしれません。
人的リソース不足が叫ばれる昨今。休職や退職による人材の流出を食い止めたいと考える事業主にとって有益な情報となるものもあるかもしれません。ぜひご活用ください。


中小企業は従業員数が少ないからこそ、一人一人が持っている力を充分に発揮できるような環境整備が必要となります。
ストレスは数値で誰が見てもわかるわけではありません。そんな心のケアについて、今一度考える機会にしていただけると幸いです。

中小企業の事業主の方も、企業の労務人事担当者の方も、既知の事柄も有るかもしれませんが、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?



社会保険労務士法人ヒューマン・プライム AT