短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大③ [短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の適用拡大]


前回は短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大に関して《平成28年度10月1日~》短時間労働者の要件をご案内致しました。
今回は被保険者の取扱いに係る留意事項と事務手続きなどについてご案内致します。

~被保険者の取扱いに係る留意事項~

1)短時間労働者(4分の3未満)の標準報酬月額の算定にかかる支払基礎日数の取扱い
  短時間労働者の「算定基礎届・月額変更届等」における支払基礎日数は、
  各月11日以上の勤務日数があるかどうかで判断します。
  一般の被保険者は17日以上の勤務日数があるかどうかで判断致します。

2)被保険者資格取得の基準変更
  被保険者資格取得の基準(4分の3基準)が明確になります。

 《改正前》
 (a)1日または1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数がおおむね4分の3以上
 (b)被保険者として取り扱うことが適当な場合は、総合的に勘案し被保険者の適用を判断すること
[次項有]《改正後》(平成28年10月~)
 (a)1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が4分の3以上
 (b)廃止

[ひらめき]また、4分の3基準を満たさなくても、特定適用事業所に雇用される短時間労働者で、
  短時間労働者の要件を満たす人は、被保険者となります。
・特定適用事業所については下記URLの記事参照
 [クリア]http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/archive/20160624
・短時間労働者の要件については下記のURLの記事参照
 [クリア]http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/archive/20160721


3)被保険者資格取得の経過措置
 上記の4分の3基準や短時間労働者の要件を満たしていない場合であっても、
 10月1日前から被保険者である方については、
 10月1日以降も引き続き同じ事業所に雇用されている間は被保険者になります。
 [exclamation]喪失手続きは不要です。
 
~短時間労働者に対する適用拡大に伴う事務手続きについて~

1)[NEW]「被保険者資格取得届」の新しいバージョンがアップされています。
 短時間労働者に該当する場合は、備考欄にある「短時間労働者(3/4未満)」
 にレ点チェックを入れて提出します。
 日本年金機構の資格取得届のURLです[ぴかぴか(新しい)]
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/0819-01.pdf#search='%E8%B3%87%E6%A0%BC%E5%8F%96%E5%BE%97%E5%B1%8A+%E7%9F%AD%E6%99%82%E9%96%93'
 ※「厚生年金保険 70歳以上被用者 該当・不該当届」も同じく短時間に該当する場合は、
   上記と同様になります。

2)「被保険者区分変更届 70歳以上被用者区分変更届」
  [ひらめき]被保険者の区分を変更する申請書となります。
  ・一般被保険者 → 短時間労働者
  ・短時間労働者 → 一般被保険者
  上記の様に働く時間が変更になった場合は、区分変更届を提出します。

~短時間労働者が社会保険に加入するメリット~
 ・将来もらえる年金が増えます。
 ・障害がある状態になり、日常生活を送ることが困難になった場合なども、
  より多くの年金がもらえます。
 ・傷病手当金や出産手当金などの医療保険(健康保険)の給付も充実します。
 ・保険料は会社と被保険者が折半で負担します。
  また現在ご自身で国民年金保険料・国民健康保険料を支払っている方は、
  今より保険料が安くなることがあります。 
 ※詳細は日本年金機構のURLに掲載されております。
  [クリア]http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai/

~短時間労働者に対する社会保険適用を拡大することとなった目的と趣旨~
 社会保険の恩恵を受けられない短時間労働者の非正規労働者に対して、
 社会保険の適用をすることにより保障内容を充実させるセーフティネットの強化することで
 社会保険における格差を是正するためです。
 適用拡大により働かない方が有利になる仕組みを除去することで、就業意欲の促進が期待されています。
 厚生労働省の試算によると今回の適用拡大により新たに25万人が加入する見込みとなっています。



社会保険労務士法人ヒューマン・プライム W

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