来年(H29.1.1)から変わる育児・介護休業法【その②:介護編】 [法改正]

平成29年1月1日から育児・介護休業法が改正されます。
第2弾の今回は「介護」関連の改正内容を解説します。
【その①:育児編】はこちら⇒http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2016-08-20

改正点は以下の5点です。

(1)介護休業の分割取得
現行は、対象家族が要介護状態にある場合、介護休業を通算93日まで取得することができますが、「同一の要介護状態」にあるときは介護休業の分割取得は認められていません(要介護状態から回復し別の要介護状態となった場合には再取得が可能)。

[ひらめき]改正後は、同一の要介護状態である場合も含めて、対象家族1人について3回の介護休業を通算93日まで取得できます(介護開始から介護終了までの間に、状態の変化に応じて介護休業を分割して取得することが可能となります)。

(2)契約社員の介護休業取得要件の緩和
現行は、以下の3点いずれにも該当することが必要とされています。
 ①申出時点で同一事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
 ②休業開始日から93日を経過する日以降も引き続き雇用されることが見込まれること
 ③93日を経過した日から1年を経過する日までの間に、雇用契約が満了し、かつ、契約更新が
  ないことが明らかである者を除く

[ひらめき]改正後は、以下の2点いずれにも該当すれば育児休業を取得できます。
  ①申出時点で同一事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
  ②休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6ヵ月を経過する日(すなわち介護休業を
   取得する日から9ヵ月経過する日)までの間に、雇用契約がなくなることが明らかでないこと

[位置情報]改正前の要件は、事業主・労働者の双方にとって分かりにくいという声があったそうです。そのため、今回の改正趣旨である「介護休業の取得促進」を踏まえて、要件が簡素化されることとなりました。

(3)介護休暇の半日取得
現行は、要介護状態にある対象家族の介護その他世話をする労働者は、年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)まで介護休暇を取得することができ、原則として暦日「1日単位」によることとなっています。
[位置情報]時間単位や半日単位での取得は、指針により「弾力的な利用ができるよう配慮すべき」とされており、強制義務化されていません。

[ひらめき]改正後は、介護保険関係の手続き、ケアマネージャーとの打ち合わせ、通院等に対し丸1日休暇を取る必要がない場合も想定されるため、「半日単位」の付与が法律に明文化されます。そのため、労働者から請求があれば与えなければなりません。

(4)介護のための所定労働時間の短縮等の措置
現行は、事業主が講じた介護のための所定労働時間の短縮措置(選択的措置義務)について、介護休業と通算して93日の範囲内で取得できます。

[ひらめき]改正後は、事業主が講ずべき選択的措置義務の仕組みは変更せず、日常的な介護ニーズに対応するため、措置を講ずべき期間が3年以上に延長され、介護休業とは別に、利用開始から3年の間で少なくとも2回以上の利用が可能となります。

(5)介護のための所定外労働の制限(残業の免除)
現行の法律では、介護のための残業免除制度はありません(3歳未満の子を養育する労働者に対する残業免除制度は有り)。

[ひらめき]改正後は、対象家族1人につき介護の必要がなくなるまで利用できる残業免除制度が新設されます。これにより、労働者から請求があれば、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させることはできません。
[位置情報]所定労働時間とは、労働基準法で定める法定労働時間ではなく、就業規則等において労働すべき時間として定められた時間のことです。法定内(所定外)残業であっても請求があった場合は労働させることはできません。

用語解説[ペン]
「対象家族」
  配偶者(事実婚含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫
  ※祖父母、兄弟姉妹、孫の同居・扶養要件が不要となりました。
「要介護状態」
  負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態
  ※今後見直し予定有り(常時介護を必要とする状態の判断基準の緩和が検討されています)

今回の法改正は、就業規則の見直しが必要となってくる内容です。
ヒューマン・プライムでは就業規則改定見直しのご相談も承っておりますので、お気軽にお問合せください[わーい(嬉しい顔)]
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社会保険労務士法人ヒューマン・プライム K

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