36協定の重要ポイント①~事前に届出を行っていますか?~ [労働基準法]

法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりする可能性がある場合は、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。
この協定は労働基準法第36条によるものなので、通称「36(サブロク)協定」と呼ばれています。
36協定を締結しないで、法定労働時間を超えて働かせた場合は労働基準法に違反し、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象となります。また、締結はしてあっても労働基準監督署に届け出していない場合も同様です。

[ひらめき]36協定で定めるべき事項は、次の①~⑦があります。
①時間外または休日の労働をさせる必要のある具体的事由
②時間外または休日の労働をさせる必要のある具体的業務
③時間外または休日の労働をさせる必要のある労働者数
④1日について延長することができる時間
⑤1日を超える一定の期間について延長することができる時間
⑥労働させることができる休日並びに始業および終業の時刻
⑦有効期間
以上の事項を、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者との間で締結します。
過半数代表者については、こちらのブログをご覧ください↓↓
「過半数代表者の選任について」⇒http://humanprime.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29

36協定の締結は「事業場」単位です。全国各地に支店があるような場合は、その支店ごとに締結が必要となります。(法人単位ではありません[exclamation×2]

36協定は、有効期間の開始日までに所轄労働基準監督署へ届け出なければなりません。有効期限開始後に届出をした場合、受理してもらえますが、届出日より前は無効であり、法定時間外労働や法定休日労働をさせることはできません。労基署によっては「本件届は届出年月日前については無効です」といった赤スタンプを押されることもあります[ふらふら]

36協定の届出は1年に1回しか発生しないので、ついつい忘れがちになってしまいそうですが、例え「うっかり」でも認められませんので、届出漏れがないよう注意しましょう[exclamation×2]

社会保険労務士法人ヒューマン・プライム K


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正社員からパートに変わったときの有給休暇の取り扱いについて [労働基準法]


正社員からパート、パートから正社員など、雇用契約の形態が変更したときに有給休暇をリセットしてはいませんか?

正社員からパートに変わっても、すでに付与されている有給休暇の日数がそのまま引き継がれます。
また、その後の付与日にはパートの契約に則した付与日数が付与されますが、その基となる勤続年数は正社員として採用された日から通算した勤続年数となります。

これはパートから正社員に変わった場合も同様です。

また、会社によっては雇用形態の転換の際に、一度形式的に退社扱いとするので有給休暇もリセットしているというところもあるようですが、これは違法です。


【有給休暇の基本】

正社員以外のパートやアルバイトの従業員には有給を与えていないという会社はありませんか?

週の所定労働時間が30時間以上または週の所定労働日数が5日以上の従業員はパートやアルバイトであっても法定の日数を付与しなければなりません

また、週の所定労働時間が30時間未満で、なおかつ週の所定ろう度日数が4日以下の従業員については、所定労働日数に応じた短時間従業員用の日数を与えなければなりません。(比例付与)

【ご参考】

東京労働局リーフレット
厚生労働省リーフレット


知っているようで意外と知らない有給休暇。この機会に一度確認してみてはいかがでしょうか?


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パートタイム労働法の概要③「就業規則」の作成について [労働基準法]

パートタイム労働法 条文 

第7条「就業規則の作成の手続き」  事業主は、パートタイム労働者に係る事項について就業規則を作成し、または変更しようとするときは、当該事務所において雇用するパートタイム労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聞くように努めるものとする。

 就業規則の作成又は変更に当たっては、労働基準法第90条により、労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聴かなければならないこととされていますが、パートタイム労働者に適用される就業規則の作成又は変更に当たっては、パートタイム労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聞くことが努力義務とされています。


[ひらめき]ご参考[ひらめき]
パートタイム労働者就業規則の規定例
※この規定例は、正社員に適用される就業規則とは別に、パートタイム労働者のみに適用される 就業規則を作成(変更)する場合の参考例として紹介するものです。したがって、実際に就業規則 を作成(変更)するに当たっては、これをそのまま丸写しにすることなく、事業所の実態を踏まえつ つ十分な検討を加え、事業所の実態に合ったものとするようにしてください。
  ↓ ↓ ↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1k.pdf

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パートタイム労働法の概要②「労働条件に関する文書の交付等」とは? [労働基準法]

労働基準法では、パートタイム労働者も含めて、労働者との労働契約の締結に際して、
労働条件を明示することが事業主に義務付けられています。

特に、「契約期間」「仕事をする場所と仕事の内容」 「始業・就業の時刻や所定労働時間外労働の有無、休憩、休日、休暇」 「賃金」「退職に関する事項」などについては、文書で明示することが義務付けられています。

※違反すると30万円以下の罰金に処せられます![ふらふら]


上記に加えて、パートタイム労働法ではパートタイム労働者を雇い入れたときは、
「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」も3つの事項を文書の交付等(注1)により
速やかにパートタイム労働者に明示することが義務付けられています。(第6条第1項)

注1:3つの事項についてはパートタイム労働者が希望した場合は、電子メールやFAXでも可

※違反した場合、行政指導によっても改善がみられなければ、パートタイム労働者1人につき 契約毎10万円以下の過料の対象となります。[ふらふら]

「雇い入れたとき」とは、初めて雇い入れたときだけでなく、労働契約の更新時も含みます。

上記3つの事項以外については、文書の交付などにより明示することが努力義務とされています。
(第6条第2項)


[ひらめき]ご参考[ひらめき]
「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」も3つの事項を明示する際の文書の作成例
↓↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1l.pdf


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パートタイム労働法の概要①「パートタイム労働者」とは? [労働基準法]

パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)は、
パートタイム労働者と通常の労働者との均等・均衡待遇の確保を推進することを
目指しています。

今回は最も基本的ですが意外と知らない「パートタイム労働者」の定義について
解説します。

「パート」と「アルバイト」って別なものなのでしょうか?

「パートタイム労働者」とは、
【1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の 1週間の所定労働時間に比べて短い労働者】とされています。

  「パートタイマー」  「アルバイト」  「嘱託」  「契約社員」  「臨時職員」  「準社員」etc… 

名称にかかわらず上記【】に当てはまる労働者であれば、 「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法の対象となります。 

では「通常の労働者」とはどんな労働者でしょうか?

[ひらめき]「通常の労働者」とは、同種の業務に従事する「正社員」「正職員」などを指し、
いわゆる正規型の労働者がいれば、その労働者をいいます。

[ひらめき]同種の業務に従事するいわゆる正規型の労働者がいない場合、
フルタイムの基幹的な働き方をしている労働者がいれば、その労働者が通常の労働者となります。

[ひらめき]どちら(同種の業務に従事するいわゆる正規型の労働者もフルタイムの基幹的な働き方をしている
労働者)もいない場合は、事業所における1週間の所定労働時間が最長の労働者が通常の労働者となります。

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振替休日と代休の違いについて [労働基準法]

振替休日と代休の違いについて、改めて聞かれると意外とわからないということはありませんか?

両者では休日手当について違いがありますので、確認しておきましょう。

●振替休日とは→法定休日を他の勤務日とあらかじめ交換して労働させ、事前又は事後に休日を与えた場合

 休日を交換したことになるので、休日労働にはなりません。したがって休日手当は不要です!

●代休とは→勤務日の振替(交換)を行わずに法定休日に労働させて、事後に代休を与えた場合

 休日労働になります。よって休日手当が必要です!!

※ただし、法定休日は週1日ですから、週休2日制のいずれか1日(土曜日など)や祝祭日に勤務させても休日手当を支払う必要はありません。

※また、振替出勤により休日を翌週に振り替えた場合には、1週間の労働時間が40時間を超えることになるので、40時間を超えた部分については時間外手当を支払う必要があります。


従業員の労働状況をしっかり確認し、手当の支払間違いの無いように気をつけましょう。


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厚生労働省リーフレット「知って役立つ労働法」 [労働基準法]

今回は、厚生労働省が発行しているリーフレットをご紹介したいと思います。

「知って役立つ労働法 働くときに必要な基礎知識」です。厚生労働省のホームページからダウンロードが可能になっています。

タイトルに労働法とあるように、内容は労働基準法、労働組合法、男女雇用機会均等法など様々な労働に係る法律について分かりやすく説明されています。

就職前の学生を対象としたリーフレットですが、すでに実務を担当されている方にも手元にあると便利な一冊ではないかと思います。
 例えば、従業員の方から「産前休暇はどれくらいの期間お休みできますか?」と質問を受けたときなど、このリーフレットを見れば「産前6週間休業できますよよ。」と答えることが出来るような内容になっています。

 是非、ダウンロードしてご活用してみてはいかがでしょうか。
リーフレットのダウンロードはこちらから↓↓↓
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/dl/roudouhou.pdf

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過半数代表者の選出について [労働基準法]

労使協定を締結するときには、過半数代表者の選出が必要不可欠です。

まず過半数代表者とは・・・

①その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合
②その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者

となっています。

②による場合で「労働者の過半数を代表する者」の選出方法には、次のような方法があります。

・労働者全員を集めて挙手または投票により選出
・候補者の名前を書いた文書を回覧して信任を得る
・各職場ごとに代表者を選出し、これらの者の過半数の指示を得た者を代表者とする

反対に次のような場合は選出方法としては認められません。

・使用者が指名した者を代表者とする
・親睦会の代表者を自動的に代表者とする
・管理監督の地位(部長や課長)を代表者とする


代表者は労使協定の内容ごとに決めても、どの労使協定もある一定の人が代表になるということも可能です。
また、代表者には有効期間のような決まりはありませんが、任期を決めて「○年間はこの人が代表となる」という方法も可能です。
しかし、従業員が増えて過半数を割ってしまうしまうような状況になった場合には再選出が必要です。

実務的には、数年前に選出された人がずっと代表となっているというのでは、本来の代表の意味も薄れてきてしまうと思われますので、1年ごとに選出するという方法が妥当のようです。

このように労働基準法では代表者の選出には法的な縛りは特にありませんが、使用者が一方的に代表者を決めたり、候補者の選出に深く関与することを認めていません。
あくまでも労働者の代表ですから、選出する際には労働者が自由意思のもと選べる環境を整えてあげることが大切です。

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出張期間中の休日の取り扱いについて [労働基準法]

出張期間中に土曜日や日曜日のように所定休日が
ある場合もあります。

休日出勤命令や振替休日を実施しなければ、
出張中であっても「所定休日」として扱います。

この出張中の所定休日に労働させた場合は、
休日労働または時間外労働となり、割増賃金が
発生するので注意が必要です。

では、出張中の所定休日にケガをした場合の
取り扱いはどのようになるでしょうか。

その休日に業務命令があり休日労働中にケガを
したのであれば、業務上災害と認められます。
業務命令はなく、通常の休日として過ごして
いてレジャーなどでケガをした場合は、一般に
業務外の災害になります。

出張中の休日の取り扱いにもお気を付けください。

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出張の移動時間は労働時間か否か? [労働基準法]

遠方への出張のときなどは、早朝からの出発や深夜の帰宅などを
余儀なくされる場合もありますね。

そこで「出張の移動時間は労働時間か否か?」です。

出張の移動時間・・・原則、労働時間ではありません。
(通勤や直行直帰の際の自宅と訪問先間の移動と同じとみなされます。)

労働時間ではないので、所定労働時間外の時間を移動に費やしても
割増賃金の対象にはなりません。

ただし、上司が同行するなどの「使用者の指揮命令下」におかれている場合は、
「単なる移動」と性質が異なるため、労働時間となります。貴重品の運搬などの
責務がある場合も労働時間となります。

しかしながら、移動時間が労働時間でない場合でも身体・時間ともに制約は
されるので、出張手当などの検討も良いかと思います。
まずは、労働時間に対する労使間での解釈の相違を作らないことや就業規則に
規定することも必要となるでしょう。
ちなみに、出張の移動中の事故は労災保険では通勤災害ではなく業務上災害の
扱いになります。

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